実験動物の麻酔方法(全般的注意事項)

実験動物の麻酔方法について

麻酔と鎮痛:

用いる麻酔薬と鎮痛薬の種類は、動物の種類、齢、系統、疼痛の種類や頻度、薬剤が特定の器官系に及ぼす影響(研究目的への影響)、薬剤の安全性(特に外科手術あるいは他の実験手技による生理学的障害)など、多様な要素を考慮して選択します。術前及び術中に鎮痛薬を投与することによって術中の患者の安全性を増し、術後疼痛を軽減することによって動物福祉にも配慮する必要があります。

麻酔薬、鎮痛薬取り扱い上の注意点:
  1. 吸入麻酔薬は換気のよい場所で使用し、術者への暴露が無いようにして下さい。
  2. ケタミン(ケタラール)は麻薬に該当しますので、取扱者あるいはその指導者は麻薬研究者免許を取得する必要があります。
    *医師の麻薬施用者免許を取得していても実験動物に麻薬を施用する事はできません。
  3. ベトルファール、ラビノベットは動物医薬品および要指示医薬品扱いになりますので、購入の際には獣医師の指示書が必要な場合があります。
    *施設獣医師にご相談下さい。
  4. 麻酔や鎮痛に使用する薬剤は使用期限内のものを使用して下さい。
  5. 使用した麻酔薬、鎮痛薬は研究室に持ち帰り、適正に記帳、保管を行って下さい。
不適切な麻酔方法:
  1. ペントバルビタールナトリウム単独投与
    動物の不動化には用いることが出来ますが、鎮痛作用がなく、外科的処置の麻酔薬としては推奨されません。強力な睡眠作用があり、意識を消失させる効果がありますが、完全に意識を消失させるほどの量ではしばしば致死的となります。
  2. ジエチルエーテル
    引火性及び爆発性があり、気道刺激及び喉頭痙攣などの副作用があることから、医学部附属動物実験施設では使用できません。
  3. 医薬品以外(安全性試験がなされていない)の薬剤による麻酔。
    医薬品として利用されていない薬剤は安全性が十分評価されていません。動物福祉の観点から、安全性が確認されている医薬品の使用を推奨しています。
麻酔深度の簡易確認方法:
  1. マウス・ラットの前肢と後肢の指間をピンセットで圧迫し、引き込み反射の消失を確認する。
  2. 尾をピンセットなどで軽く動かすことにより、尾の自発的な動きが無いかを確認する。
  3. ニップル付きピペット等で眼に空気を吹きかけ角膜反射を確認する。
  4. 正向反射、切皮時の体動を確認する。
動物種による麻酔法:
  1. マウスの麻酔法
  2. ラットの麻酔法
  3. ウサギの麻酔法
  4. イヌの麻酔法
  5. ブタの麻酔法
  6. 霊長類の麻酔法
  7. トリの麻酔法
  8. 魚と両生類の麻酔方法
  9. マーモセットの麻酔法
上記記載動物種以外の麻酔方法については動物実験施設獣医師にご相談下さい。
E-mail yamada@iexas.med.osaka-u.ac.jp
麻酔薬の商品名と製造販売業者名
薬品名 商品名 製造販売業者名
塩酸メデトミジン ドミトール 日本全薬工業
ミタゾラム ドルミカム アステラス製薬(株)
酒石酸ブトルファノール ベトルファール 明治製菓(株)
プロポフォール ラビノベット 武田シェリング
ブラウアニマルヘルス(株)
チオペンタールナトリウム ラボナール 田辺三菱(株)
塩酸ケタミン ケタラール 第一三共プロファーマ(株)
塩酸キシラジン セラクタール バイエル薬品(株)
アチパメゾール アンチセダン 日本全薬工業
アザペロン ストレスニル ノバルティスアニマルヘルス(株)
塩酸ププレノルフィン レペタン 大塚製薬(株)
カルプロフェン リマダイル ファイザー(株)
メロキシカム メタカム ベーリンガーインゲルハイム
ベトメディカジャパン(株)
硫酸アトロピン 硫酸アトロピン 田辺三菱(株)
*印の薬品は麻薬及び向精神薬取締法に定められた麻酔薬です。

参考文献

  1. Anesthesia and Analgesia of Laboratory Animals, Second Edition, Academic Press 2008
  2. Paul Flecknell, Laboratory Animal Anaesthesia, Third Edition, Academic Press 2010
  3. Guide for the Care and Use of Laboratory Animals Eighth Edition, Academic Press 2010